一人を楽しめる空間もあって
阪神大震災の頃、母が神戸でボランティアをしていた体験談を、今でもよく話してくれます。親の代からずっと住み慣れていた家を、地域を、突然地震と大火災が襲ったのですから、どうしようもありません。焼け出された人たちは、仮設住宅に入るか、近代的仮設住宅のようなマンションに振り分けられたそうです。
家族が生き延びた人たちはまだよかったのですが、愛する人も家財も失い、独り身で、今まで住んだことのないマンション生活を強いられた人は、孤独死という結果につながっていったようです。マンションは、いったん玄関のドアを閉めると、鉄のドアと防音効果のある分厚い壁に区切られて、絶対的な孤独と向き合うことになったといいます。
現代人は、特に賃貸のワンルームなどに住む場合は、むしろそんな孤独、周囲からプライバシーを見てほしくないという、“お一人様”を求める場合も少なくないんじゃないでしょうか。築浅の単身者用マンションの間取りなどを見ていると、震災の体験とは反対に、むしろそういった配慮がしっかりなされているように思えます。